消費生活相談事例 中古車の契約
高額なキャンセル料を請求された中古車の契約
相談概要
中古車購入のクレジット契約時、夫が連帯保証人となったが免許証がないため審査が通らなかった。クレジットが組めず、中古車の契約はキャンセルとなった。オートローンの連帯保証人に条件がいるのだろうか。また、販売合計代金の10%のキャンセル料を請求されているが、支払わなければいけないだろうか。
アドバイス
オートローンの連帯保証人の条件については、信販会社の判断によります。クレジット産業協会等に問い合わせたところ、連帯保証人に免許証の条件がつくことは聞いたことがないとのことでした。また中古車をローンで契約する場合の契約の成立時期は、信販会社が承諾の通知をした時です。この事例の場合は、ローンの契約が成立しなかったので、自動車の購入契約そのものが未成立であり、キャンセル料は支払う必要はありません。さらに頭金をすでに支払っていたとしても、契約が成立しなければ返金されるべきものなので、返金を求めることが可能です。
この事例はクレジットを利用しての中古車の購入契約ですが、現金販売の契約成立時期は、「登録がなされた日、注文により販売店が改造、架装、修理に着手した日、または、自動車の引渡しがなされた日のうち最も早い日」と日本中古車販売協会連合会監修注文書の裏面約款では定めています。現金販売の注文書に署名、捺印していても登録や修理等に着手していない場合は、この約款によれば契約成立前なので販売店はキャンセルに応じる必要があります。契約成立前のキャンセル料の請求範囲は車庫証明手続費用等の実損金に限られます。標準約款を採用せず「購入者が手付金を支払った時点で契約は成立する」「口頭による申し込み、承諾によって契約が成立する」とした独自の契約条項を定めた約款を用いる場合もあります。
契約が成立すれば、一方的にキャンセルすることはできませんが、双方で合意できればキャンセルは可能です。この場合キャンセル料として、高額な請求を受ける場合がありますが、消費者契約法では、消費者契約の解除に伴い事業者に生じる平均的な損害額を超える部分については無効と定められています。キャンセルにより生じる平均的な損害額(実費等)をもとに、妥当な金額について事業者と話しあいましょう。
なお、乗用自動車は特定商取引法、割賦販売法の指定商品ではありますが、クーリング・オフの対象から除外されているので、訪問販売等で契約してもクーリング・オフはできません。
消費者契約法
消費者が事業者と締結した契約を全て対象とし、消費者契約の締結過程に係るトラブルの解決と、消費者契約の契約条項に係るトラブルの解決をはかるための法律です。
不当契約条項に関するルール
- 事業者の損害賠償責任を一切免除する条項は無効
- 不当に高額な解約損料や遅延損害金を要求する条項は無効
- 消費者の利益を一方的に害する条項は無効
ただし、その条項が無効になったからといって、契約自体が無効になるわけではありません。常識的な範囲内で責任を負わせたり、損害金が減額されたりすることになります。