市長年頭のことば(令和3年1月1日)
皆様、明けましておめでとうございます。
岡崎市長の中根康浩でございます。
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
コロナ禍が続き、厳しい状況の中で新年をお迎えのかたには、心からお見舞いを申し上げます。
本来であれば、元日に新年交礼会を開催して、各界各層から約3,000人を超える皆様の御臨席を賜り、盛大に新年を祝うところでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、式典開催を中止いたしましたので、映像にて新年の御挨拶を申し上げます。
昨年10月の選挙におきまして、市民の皆様の力強い御支援により、初当選させていただき、市政を担うことになりました。
今、市長としての役割と責任の重さを改めて心に受けとめ、新春に臨み、決意を新たにしているところであります。
さて、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今までとは大きく異なる一年でありました。新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、日々医療の最前線で感染リスクを抱えながら命と健康を守る医療行為に御尽力いただいております医療従事者や感染症対策に従事される皆様に、心から敬意を表するとともに、深く感謝を申し上げます。
新型コロナウイルスの影響は長期にわたり、そして幅広く市民の皆様の不安を増大させ、生活を疲弊させており、その対策を最優先に取り組んでまいりました。
まず、PCR検査につきまして、岡崎市医師会の御協力もいただき、発熱症状等のある方は、11月12日から市内82箇所の診療検査医療機関において、医師の診断により必要に応じて新型コロナウイルス感染症の検査が行われることとなりました。保健所の検査機器の増設とも合わせて、必要な方が必要な時に検査が受けられる体制を整えることができております。
11月に市内の高齢者施設において、クラスターが発生しました。
その際には、公約の一つである「医療従事者等エッセンシャルワーカー支援検討会議」の一環として、危機管理対策本部職員や高齢者施設を所管する福祉部職員が現地に出向き、現場で奮闘される関係者の皆様の意見をくみ上げてまいりました。
施設には市が独自でストックしていた防護用ガウンやマスクを緊急的に支給するなどの対策を行いました。今後、他の施設でクラスターが発生した場合でも同様に物資を支給するよう、万全の体制を組んでおります。
また、施設の利用ができなくなった場合でも、生活を維持するため、他の施設の利用ができるよう、受入れの協力体制を整備してまいります。
現在、陽性者の在宅支援として配食サービスを実施しておりますが、日用品を含めるよう検討を始めました。さらにこのサービスにつきましては、感染拡大予防の観点から陽性者に加え、濃厚接触者の方に対象を拡げたいと考えております。
一方、世界中で新型コロナウイルスのワクチン開発が進められ、一部の国では接種が始まり、国内においてもワクチンの承認申請が行われるなど明るい兆しが見えてまいりました。
国からの指示に従い、ワクチン接種が可能となり次第、早期に実施出来る体制づくりに必要な補正予算を12月議会にて可決いただいており、一刻も早くワクチン接種が開始されることを期待するところであります。
今後も市民の生活を守るため、議会でいただいた御指摘や市民の皆様からの声をしっかりと受け止め、影響を受けている多くの皆様に必要な対策を検討し、4月からは保健部の「生活衛生課」を「保健衛生課」と「保健予防課」に分割して感染症対策の体制強化を図るなど、手を緩めることなく実行してまいります。
次に、30人学級につきましては、第1回「30人学級実施検討会議」を昨年12月25日に開催いたしました。
第1回目の検討会議の委員は、教育施策や建築関係の学識経験者を始め、学校教育関係者、福祉関係法人による12名の構成で実施し、さらに今後は、新たに4名程度の市民のかたを公募させていただき、3月に予定している第2回目の会議から御参加いただく予定となっております。
昨年は小学校1年生から中学校3年生まで1人1台のタブレット端末の整備も終え、「岡崎版GIGAスクール構想」の実現とあわせ、30人学級の実現は、より先生方の目が子供たちに行き届き、「誰も取り残さない」という個別最適化された学習が可能となります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響がある中でも、「次代を担う岡崎の子供たちの学びを止めない」ということは岡崎の教育の使命であると考えておりますので、委員の皆様とともに、本市における30人学級の実施について検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、水道事業についてであります。全国的には、施設の老朽化等により経営が困難となる水道事業者が増えており、その対策の一つとして、水道法が改正され、水道施設運営権を民間事業者に設定する方式、いわゆるコンセッション方式が話題となりました。
しかしながら、市民生活に密接にかかわる水道水については、行政が責任を持って供給する必要があると考えていることから、本市の考えを厚生労働省に申し入れし、「コンセッションの導入を働きかける予定は今後もありません」との御回答をいただいております。
また、多くの市民の皆様に御心配をお掛けしている、八丁味噌󠄀の地理的表示保護制度、いわゆる、GIの問題についても、同日、農林水産省に対し、早期の問題解決などの申し入れを行いました。
今後も、江戸時代初期から伝統製法を守り続ける岡崎の財産である八丁味噌󠄀が、今後も誇りをもって作り続けられるよう、八丁味噌󠄀協同組合と共に、粘り強く取り組んでまいります。
一方、新たな行政課題に対し迅速、柔軟に対応するため、本年4月よりこれまでの組織体制を大きく見直します。
まず、地域共生社会の実現に向け、「断らない相談支援」、「社会とつながるための支援」、「地域における交流や活躍の機会を生み出す支援」を一体的に行う課として、福祉部に「ふくし相談課」を新設します。
加えて、福祉部、保健部、こども部の所管する業務を見直し、福祉会館の1階を福祉フロア、3階はこどもフロアとすることによって、福祉会館において可能な限り事務手続きが処理できる体制を構築して市民の利便性の向上を図り、「日本一住みよい福祉都市」を目指してまいります。
そして、「地域窓口係」を新設し、職員が市内の各地域に出向き、地域の様々な意見をお伺いすることによって、地域の皆様の意見を反映したまちづくりを推進してまいります。
また、行政手続きにおける押印を廃止するなどのデジタル化を推進するため、「デジタル戦略係」を新設して、限られた経営資源を最大限活用した簡素で効率的な体制の構築に努め、行政改革を実行してまいります。
次に、新たな取組みとして、市民の皆様の声を直接聞き取り、意見交換を行う市民広聴会「まちづくりほっとミーティング」を12月12日に開催いたしました。
今回は、安全安心に暮らせるまち、魅力的なまちとなるために、「公共トイレを快適に使える環境」が必要との考えから、「やろまい!トイレ革命」をテーマに実施いたしました。
当日は、様々な立場の皆様と直接意見を交換することができ、テーマに関する思いを共有することができました。
今後も、様々な機会を捉え、市民の皆様との直接的な対話を通して市民参加のまちづくりを進めてまいりたいと思います。
さらに、「障がい者が暮らしやすい社会は、誰にとっても暮らしやすい社会」であるとの考えのもと、就任後2回目となる10月28日の記者会見からは、手話通訳者に付いていただき、聴覚障がいをお持ちの方に対しても、理解しやすい工夫をいたしました。
また、11月には、市からのお知らせを直接市民の皆様にお伝えしたいという思いから、動画によるメッセージも開始したところであります。
今後も、開かれた明るい岡崎の実現のため、動画メッセージを始め、あらゆる広報ツールを使いながら、情報発信に努めてまいります。
私の使命は、市民の「声なき声」「小さな声」を聴きもらさず、誰一人取り残さない、日本一の幸せを実感できるまちづくりを進めることです。
本当に行政の支援が必要な方とは、声が届かない多くの方々のことであり、最も行政から遠いところにこそいらっしゃいます。その方たちのお声を聴いて、話して、知って、理解し合い、そのうえで支援を行うことが私の使命であります。
私は、その方たちと共に、日本一の幸せを実感できるまちをつくるために、「人づくり」、「地域づくり」、「社会づくり」の三つの柱を掲げます。
個性を輝かせ、尊重し合う、多様性に富んだ人づくりのためには、まず、導き手となる人を育まなければなりません。その一人一人が、地域を知り、耕し、支え、郷土の誇りを守り、受け継ぐことで地域は発展する。そのような地域が、やさしい社会を創り出すのです。
この三つの柱の好循環を生み出し続けながら、日本一の幸せを実感できるまちを実現するために全力を尽くしてまいります。
今後も、新型コロナウイルスの影響により、先行きが大変不透明な状況であります。
新年度は歳入の根幹である市税収入の大幅な減収が見込まれることに加え、歳出では失業や減収による影響も加わり「財政の非常事態」といえるほどの危機的な状況になることが見込まれます。
これからも、市民の皆様のニーズを的確に把握し、事業の優先順位や取捨選択を厳格に行うことにより、出来る限り生活への影響を少なくし、また市民の皆様が安心して暮らしていけるよう努めてまいります。どうか皆様のこれまで以上の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。
最後になりますが、本年は丑年であります。
この丑のように、自分自身に謙虚であり、ゆっくりでも着実な歩みで、大きな成果に向けて努力を重ねることに相応しい年であると思っております。
結びに、市民の皆様の御多幸を心より祈念申し上げまして、年頭のあいさつといたします。
令和3年1月1日 岡崎市長 中根 康浩