市長年頭のことば(令和4年1月8日 新年交礼会)
皆様、明けましておめでとうございます。
岡崎市長の中根康浩でございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。
本市独自の伝統行事である、この新年交礼会を、岡崎市総代会連絡協議会との共催により開催しましたところ、ご来賓の皆様、そして多くの皆様のご臨席を賜り、心から感謝申し上げます。
これまで、元日に開催し、盛大に新年を祝っていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、昨年は中止に、今年は、人が集まりやすい元日での開催を避け、規模を縮小し、本日開催させていただきました。
市長に就任し、2回目の新年を迎えることとなりました。その間、当初掲げた公約のほぼ全てに着手することができましたのも、多くの市民の皆様方のご理解とご協力のおかげであると考えております。
始めに、新型コロナウイルス感染症についてであります。
コロナ禍が続き、厳しい状況の中で新年をお迎えの方には、心からお見舞い申し上げます。
昨年は、「新型コロナウイルス感染症対策とワクチン接種の1年だった」というのが、私の率直な思いであります。最前線でご対応いただいている医療従事者の皆様を始め、感染拡大防止にご協力いただいている皆様に、心から感謝申し上げます。
感染症対策の柱となるワクチン接種につきましては、医師会、歯科医師会、薬剤師会のご協力のもと、切れ目のない確実な接種を進めるとともに、市民目線による改善に努めてまいりました。
「無料託児サービス付接種」や集団行動に不安のあるお子様向けの「おもいやり接種」の実施など、お困りの方に寄り添った対応も行い、現在、約85パーセントの方が1・2回目の接種を完了されています。
3回目の追加接種については、本市でも先月から医療従事者を対象とした追加接種を開始しました。今後、国から示されました、接種時期の前倒しの方針を踏まえ、追加接種が可能な時期を迎える方に順次接種券を発送し、希望する方への接種を着実に進めてまいります。
さらに、変異株による影響など、今後の感染状況が心配されるところです。気を緩めることなく、第6波に対応できる体制を、県と連携しながら整えてまいります。皆様におかれましては、引き続き、基本的な感染防止対策にご理解とご協力をお願いいたします。
次に、太陽の城跡地の活用についてであります。
就任当初は、新型コロナウイルス感染症対策を最優先とし、コンベンション施設整備事業は中止も含めて再考することとし、税金を投入するなら、市民の皆様の納得感と十分な理解を得ることが重要だと考えていました。選挙結果というものは、市政運営全般について、私に全て白紙委任されたものではないと考えておりますので、改めて、優先交渉権者に対し、事業の一時凍結を申し入れ、市民の皆様のご意見を伺ってまいりました。これまでに中止という選択肢もご提示しながら、2,800人を超える市民・団体の皆様からのご意見をお聞きし、導き出した新たな方向性を決定・公表いたしました。
意見の多くは、「特別な利用だけでなく、子どもや高齢者、障がいをお持ちの方など、あらゆる方々が日常的に利用できる場所であって欲しい。」というものでした。この計画変更により、柔軟な活用ができる施設へと機能を拡張することで、来訪者だけでなく、全ての市民が賑わい創出の一翼となり、地域活性化に繋がる、そういった場所を目指していきます。
また、名称をコンベンション機能に捉われない(仮称)おかざき乙川リバーフロント交流拠点へと一旦変更し、今後、決定していきたいと考えております。
この計画は、市民や専門家の皆様の意見を積み上げた結果であり、まさに私の目指す「市民参加型市政」の趣旨に沿って創り上げられたものと考えています。さらに、市民の皆様の関心や愛着を高めることにも繋がったと感じており、これからのまちづくりにとっても意義深い機会になったと確信しております。
今後は、優先交渉権者の皆様との協議を再開し、施設規模や予算等の精査を進めてまいります。
続いて、放送開始まであと1年となった「どうする家康」についてであります。
11月29日にNHKから、主演の松本潤さんのほかに、有村架純さん、岡田准一さん、ムロツヨシさんなど、今を時めく豪華キャストの出演も発表され、私も今から1年後が大変楽しみになってまいりました。
現在、放送開始に向け、誘客、地域活性化や受入体制整備など、鋭意準備を進めているところです。放送期間中における誘客の柱とすべく、岡崎公園内の三河武士のやかた家康館を大河ドラマ館として整備するための協議・調整も本格化してまいりました。先月には、静岡市・浜松市と合同でNHKを訪問し、家康公生誕の地である岡崎でのロケや地元産品をドラマ内で使用していただくことなどの要望を行い、岡崎に対する高い関心を持っていただけたと感じました。ドラマ放送開始にむけて、様々な取組みを加速させてまいります。
さて、今年は寅年であります。「寅」の文字は、春が来て草木が生ずることを表しております。決断力と才知の象徴であり、挑戦や行動を起こすのにふさわしい年であると言えます。私も1962年生まれの年男です。この節目の年に、今年の具体的な目標として、「10の寅年ビジョン」を掲げたいと思います。
1つ目は、脱炭素の取組みであります。
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする脱炭素社会の実現に向け、各地域で、自然環境や産業構造などの特性に応じた施策を展開いたします。まずは、環境省が選定する「脱炭素先行地域」に選ばれるよう準備を進めてまいります。
今月25日には、脱炭素社会におけるエネルギーとして有望な水素の理解を深めるため、環境省が全国2か所で開催するシンポジウムの会場として、本市が選ばれました。開催後には、出席した企業や関係団体の皆様と行政による協議会を立ち上げ、検討を進めてまいります。
そのほか、災害時の避難所と公共施設の機能の維持を図るため、原則、全ての公共施設に太陽光発電などの設備を導入することで、自家消費以上の電気を生み出し、公共施設が発電所の機能を持つことも研究してまいります。
2つ目は、デジタル社会の推進であります。
デジタル・トランスフォーメーションを推進するため、本市では「おかざきDXビジョン」の策定に取り組み、デジタル技術を活用した、市民の皆様の利便性の向上に努めてまいります。パソコンやスマートフォンで子ども医療受給者証の交付申請などができる手続きのデジタル化や、市税等をスマートフォンで納付できるキャッシュレス化など、自宅に居たままでもできる手続きを実現してきました。また、今月17日から市税等の口座振替の登録手続きが一部金融機関ではスマートフォンでできるようになります。今後もデジタルで実感できる一歩先の暮らしの実現に向けて取り組んでまいります。
また、老人クラブ会員を対象としたスマホ講座を今月27日に開催します。今回は小規模ですが、市民の皆様がデジタル技術に慣れ親しんでもらい、利用が困難な方が取り残されることのないように、様々な支援に取り組んでまいります。
3つ目は、「どうする家康」による盛り上げであります。
大河ドラマ館の整備に加え、家康公の生誕日である昨年12月26日には、「家康公生誕の地」「若き家康公」をテーマとした岡崎市徳川家康公顕彰推進協議会のオリジナルロゴマークとキャッチコピーも発表されました。
この絶好の機会を逃すことなく、家康公生誕の地として、今まであまり取り上げられなかった「若き家康公の岡崎」を全国へ発信し、地域経済の回復につなげられるよう、経済団体の皆様、市民の皆様と一緒に、チーム岡崎として盛り上げてまいります。
4つ目は、犯罪のないまちづくりの推進であります。
昨今の犯罪発生件数については、地域一丸となった様々な防犯活動の取組みにより、着実に減少しております。しかし、子どもや女性、高齢者に対する悪質な犯罪が、後を絶たない状況でもあります。
そこで、犯罪のない、誰もが安全で安心して生活することのできる地域社会の実現を目指し、この式典の最後に、『子ども・女性・高齢者を犯罪から守るまち岡崎』都市宣言を表明いたします。会場にお越しの皆様にお立ち合いいただき、市民の皆様とともに、犯罪のないまちづくりを進めてまいります。
5つ目は、「とにかく子ども」の取組みであります。
公約として掲げた30人学級の実施につきましては、検討会議をこれまで5回開催しております。議論の結果、1クラスを32人とする案が検討されています。この案は、4人でチームを組み、不安や迷いが生じたときに仲間の力を借りながら、自分の学びを高めていくチーム学習など、学習指導要領の求める個別最適化された学びの実現にも効果を発揮すると考えています。実現には課題もありますが、令和5年度からの段階的な実施を目指してまいります。
学校トイレの洋式化につきましては、校舎に加え、体育館についても順次取替えるなど、子ども達が使いやすい教育環境の整備を進めてまいります。
また、要望の多い雨の日でも遊べる施設につきましては、南公園をはじめ、各地区での整備を検討してまいります。
そのほか、ヤングケアラー問題については、個々の家庭状況に合わせた適切な対応を図るとともに、医療的ケア児への支援については、困難事例への対応のあり方等に継続して取り組み、支援体制の構築に力を入れていきます。
6つ目は、QURUWA戦略における拠点整備の総仕上げであります。
東岡崎駅の第2期整備として、橋上駅舎、駅の南北をつなぐ自由通路、バスターミナル及び駅ビルを整備することについて、名鉄と合意し、11月に基本協定を締結いたしました。バリアフリーでだれもが使いやすく、本市の玄関口にふさわしい新たな賑わいやおもてなしの空間となるよう、整備を進めてまいります。工事が順調に進めば、令和10年度に橋上駅舎の完成、11年度に新駅ビルの完成を予定しています。桜城橋については、3月に屋根付き休憩所、橋詰広場にトイレができる予定です。
乙川河川緑地や籠田公園など、これまで進めてきた公共空間の再整備により、「居心地が良く歩きたくなるまち」を実現することができました。引き続き、公民連携によるウォーカブルなまちづくりを展開するとともに、ゼロカーボンや健康づくりとも連携した取り組みを進めてまいります。
7つ目は、企業立地の推進であります。
現在、民間開発を誘導する産業立地誘導地区での立地、公共開発での阿知和地区工業団地での誘致を行っております。そのうち阿知和地区では、現在10ha以上の用地取得を条件とした第1期の進出予定企業の選定を進めております。
進出していただいた企業には、今年度も拡充した工場、倉庫等の新設等に対する奨励金を用意し、進出企業へ資金面での支援も行ってまいります。
また、今年度から企業立地を後押しする総合相談窓口を設けております。すでに多くの関係者から相談があり、好評をいただいております。進出を検討する際、最初に相談する場所としてご活用ください。
8つ目は、拠点整備の推進であります。
本宿地区におきましては、広域観光交流拠点として、アウトレットモールの進出計画が着実に進んでおります。隣接する地区では、本市初となる民間事業者による専門性やノウハウを活用した土地区画整理事業の検討を進めており、先月には、民間事業者の公募を始めております。3月までに事業者を選定し、その後、事業化に向けた検討を進め、地域拠点の実現に取り組んでまいります。
岩津市民センター及び北部学校給食センター跡地は、地域の拠点となる複合化施設の整備を進めるにあたり、円滑な交通及び安全を確保するため、交差点改良工事を実施します。
そして、地域の声をお聞きし、課題を抽出し、地域及び活動団体、市が相互に課題解決を目指すモデル事業を矢作地区において実施し、市民協働を推進してまいります。
9つ目は、中山間地の支援であります。
新たな取組みとして、オクオカと位置づけられる額田地域を始めとする中山間地域を活性化するため、特色ある地域の魅力の発信として、オートキャンプなどのアウトドア、レクリエーションの場としての充実を図るとともに、地域で消費するものは地域で生産する「地消地産」を進め、都市と中山間地域との共生をさらに充実させてまいります。また、林業を活性化し、森林を多く有する地域の持続可能性を高めるための地域商社を今年度中に設立いたします。
この地域における公共交通については、現在策定を進めている地域公共交通計画において、「地域のニーズにあった地域主体の交通」を新たな基本目標の1つに掲げ、ご意見を伺いながら取り組んでまいります。
最後は、共生社会の推進であります。
少子高齢化社会など社会環境の変化により、市民が抱える問題や生きづらさは多様化・複雑化しております。こうした状況に対峙するため、本市は昨年4月に全国の先駆けとして福祉総合相談体制がスタートしております。現在策定中の「第4次岡崎市地域福祉計画」では、ひきこもりやヤングケアラーへの支援、子どもの貧困対策、地域福祉活動への参加の促進としての公民連携による地域づくり、災害時要配慮者の個別避難計画策定支援など今日的な地域生活課題を解決していく施策を盛り込んでおり、断らない相談や個別の問題を地域で支える地域づくりを通じて、社会的に誰一人取り残されることのない、地域住民が当たり前のように共に生きていく地域共生社会のまちを実現してまいります。
また、ひきこもりなど困難を抱えた若者のための総合的な相談窓口として、昨年、若者サポートセンターを開設しました。今後は、今年度内に子ども・若者支援地域協議会を設置し、相談体制もさらに拡充してまいります。
そのほか、大きな反響があったアピアランスケア用品購入の補助など、がん患者に寄り添った施策を推進するとともに、ユニバーサル農業における「農福連携」などの障がい者就労対策や認知症対策、野良猫を捕獲し、避妊・去勢手術を行い、元の場所に戻す「TNR活動」の支援なども進めてまいります。
手話言語条例については、今年度中の制定を目指しているところであります。
もちろん、これら10のビジョンに加え、コロナ対策は言うまでもなく、防災対策、渋滞対策を始め、様々な事業につきましても、これまで以上に力強く推進するとともに、果敢に挑んでいくことをお約束いたします。
これまでと変わることなく、市民一人一人に徹底的に寄り添い、市民の皆様の夢や希望の実現、しあわせづくりを、全力で応援することを目指し、職務に邁進してまいる所存であります。どうか皆様のこれまで以上のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
結びに、市民の皆様のご多幸を心より祈念申し上げまして、年頭のあいさつといたします。
令和4年1月8日 岡崎市長 中根 康浩