岡崎市民病院における損害賠償事案の発生について
岡崎市民病院において次のとおり医療事故による損害賠償事案が発生しました。
1 概要
平成30年10月18日に岡崎市内在住の80歳代女性が救急搬送され入院となり、腹部超音波検査で肝膿瘍が指摘され抗菌薬で改善傾向でしたが、その後呼吸状態が悪化し、平成30年10月28日に脳膿瘍で亡くなられました。
この件(事案)について、令和3年3月29日に亡くなられた女性のご遺族から訴状が提出され訴訟となりましたが、裁判所から和解勧告が示され協議した結果、患者の死亡と頭部CT検査との間には因果関係は認められないものの、より早期に頭部CT検査を行えば救命可能性を高めることができたことを真摯に受け止めて、地域の基幹病院としての医療水準では、頭部CT検査を行うことが求められることを認めて和解勧告に応じるものです。
2 損害賠償額
700万円
3 経過
(1) 臨床の経過
平成30年10月18日
自宅で倒れていたところを家族が発見し救急搬送され受診する。来院時の意識レベルは概ね
正常範囲で発熱を認める。患者の訴えは腰痛のみであり、頭痛や嘔吐や神経症状はなく、認知
機能の低下などで日常生活機能が低下していた状態と判断し、経過観察目的による入院となる
平成30年10月19日
腹部超音波検査で消化器疾患である 肝膿瘍と診断し消化器内科に転科となる。入院後に認
めた変動のある意識障害の原因は、肝膿瘍による重症感染症による発熱からの意識障害と診
断する。
平成30年10月25日
血液検査にて肝膿瘍の炎症所見は改善したが、意識障害は経過観察とする。
平成30年10月26日
腹部超音波検査で肝膿瘍の改善所見を確認し、回診時に、入院後認めた頻呼吸の改善を認
める。
平成30年10月27日
午後に呼吸状態が悪化する。
平成30年10月28日
呼吸状態の悪化により意識レベルの低下の原因として頭蓋内疾患も考え頭部CT検査を行
い、脳膿瘍、脳室穿破と診断したが、同日死亡となる。
(2) 事例検討会
平成30年11月5日
担当医、担当看護師、医療安全管理室職員による事例検討会で事実の確認を行う。
(3) 損害賠償請求と和解
令和2年5月25日
ご遺族の代理人である弁護士から申入書を受理し、損害賠償を請求される。
令和2年6月3日
医療事故対策委員会(当院の対応を決める院内委員会)にて、損害賠償請求には応じること
はできないと決定する。
令和2年7月7日
相手方弁護士に損害賠償請求には応じることはできない旨を回答する。
令和3年3月29日
ご遺族の代理人である弁護士から訴状を受理し、損害賠償を請求される。
令和4年6月13日
裁判所からの和解勧告を受理する。
令和4年10月3日
和解案を協議し、700万円をご遺族に支払う方針とし、令和4年12月議会に関係議案を提出す
ることで相手方弁護士と合意する。
4 その他
令和4年12月定例会へ医療事故による損害賠償の議案を提出し、議決後速やかに手続きを行っ
ていきます。
お問い合わせ先
担当部署:岡崎市⺠病院事務局総務課
電話番号:0564-66-7237