過去の展覧会 開館25周年記念「渡辺省亭―欧米を魅了した花鳥画」

最終更新日令和3年10月19日ページID 033777

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開館25周年記念企画展

省亭チラシおもて 

会期:令和3年5月29日(土曜日)から7月11日(日曜日)

 明治から大正にかけて華々しく活躍した、渡辺省亭(わたなべせいてい)(1852-1918)の初となる大規模な回顧展です。省亭は日本画家として初めて渡欧、ドガをはじめとした印象派の巨匠と交流した経験を持ち、繊細で洒脱な花鳥画が海外で高く評価されました。一方国内でも、迎賓館赤坂離宮(国宝)花鳥の間を飾る七宝額の原画を描くなど実力が認められていました。しかし明治30年代以降、次第に画壇と距離を置いたため、展覧会で紹介される機会が少なくなってしまいました。本展では海外からの里帰り作品を含め、これまであまり知られてこなかった個人コレクションを中心に、省亭の全画業を紹介します。

開館時間

10時から17時

休館日

毎週月曜日

観覧料

一般:1000円

小中学生:500円

主催

岡崎市美術博物館、中日新聞社、NHK名古屋放送局、NHKエンタープライズ中部

協賛

DNP 大日本印刷

展示構成

第1章 作品でたどる省亭の生涯

明治から大正にかけて活躍した日本画家、渡辺省亭の全画業
 江戸の下町に生まれた省亭は、明治維新のさなか歴史画家の菊池容斎(きくちようさい)に入門し、筆遣いの基礎を学びます。その後、起立工商会社に就職して輸出用工芸図案を担当してい た折、明治11年のパリ万博への出品をきっかけに、日本画家として初めてパリに渡ります。帰国後は、博覧会や展覧会に花鳥画を中心に出品し、明治20年代には日本画の伝統に洋風表現を加味した独自の表現を確立します。しかし明治30年代以降は次第に画壇から距離を置き、大正7年に68歳で亡くなるまで市井の画家として精力的に制作を続けました。第1章では制作年のわかる作品を中心に、省亭の画業をダイジェストで紹介します。

第2章 花鳥画の世界
画業をひときわ輝かせた、写生に基づく「省亭風」

 国内外で高く評価され、今では海外の名だたる美術館にも作品が所蔵されている省亭の花鳥画は、円山四条派や琳派に学び、またパリで西洋絵画を目にした体験も相まって、天賦のデッサン力によって独自の表現へ至りました。伝統的な様式を残しながら、徹底した写生に基づく「省亭風」は、明治20年代に確立されてから晩年まで貫かれる完成されたものでした。繊細で瀟洒、しかし奇をてらうことなく四季を描いた省亭の花鳥画は、床の間を飾り生活を豊かに彩りました。第2章では省亭芸術の真骨頂である花鳥画を、海外所蔵作品も含めてご紹介します。

第3章 七宝焼に花開く省亭の原画
濤川惣助の無線七宝とのコラボレーション

 省亭は、無線七宝の開発により近代工芸史に多大な功績を残した帝室技芸員の濤川惣助(なみかわそうすけ)と、七宝改良のために協働作業を行いました。数々の万博に作品を出品するなど高い評価を得た惣助の無線七宝作品の魅力を、省亭が手掛けた原画が最大限に引き出しました。ふたりの協働作業による代表作が、迎賓館赤坂離宮(国宝)の「花鳥の間」を飾る30面の七宝額です。第3章では迎賓館赤坂離宮の七宝額の原画と、省亭と惣助の協業により生み出された七宝作品をご紹介します。
 

第4章 江⼾の情緒を描く
美⼈、⾵俗、節句。省亭がこよなく愛した江⼾下町の暮らしと⾵情

 花鳥画家として活躍した省亭ですが、風俗画も多く手がけました。省亭自身が暮らす下町の情緒を、花鳥画で発揮した繊細さと軽みをもって表現しました。また美人画や人物画では師である菊池容斎に学んだ歴史画の系譜を受け継ぎながら、観察と写生を加えて独自の人物表現を生み出しました。省亭が描いた美人画や風俗画は後に、美人画の名手である鏑木清方(かぶらききよかた)に大きな影響を与えています。第4章では省亭特有の絵画世界をご紹介します。

第5章 明治出版界での活躍
斬新な挿絵・口絵と、伝統木版技術に裏付けされた美麗な版画集

 明治20年代に集中して、省亭は出版関係の仕事に関わりました。印刷技術の革新や写真の普及により出版業界が変わる中、省亭は伝統的な木版にこだわります。山田美妙や尾崎紅葉など人気作家の小説の挿絵や口絵を手掛けるだけでなく、本格的な多色摺木版美術雑誌『美術世界』の出版では中心的な役割を果たしました。また省亭自身の木版摺作品集として『省亭花鳥画譜』、『華鳥画譜』、『省亭花鳥』が出版されています。第5章では省亭の画業の重要な一部をなす、出版関係の仕事を紹介します。

講演会 

「いま甦る渡辺省亭、その復権に向けて」  

講 師  山下裕二氏 (明治学院大学教授)

日 時  6月19日(土曜日)  午後2時から午後3時30分

「省亭の江戸と明治」 

講 師  榊原悟 (岡崎市美術博物館特任館長)
日 時  7月3日(土曜日) 午後2時から午後3時30分

ワークショップ 

「くらべる探検隊!絵と自然編」

写生を重視して生き生きとした花や鳥を描いた渡辺省亭のように、絵画に描かれた自然と中央総合公園の本物の自然をじっくりと観察。花鳥画と身近な自然、新たなかたちの鑑賞&観察会。

講  師  岡崎市環境部環境政策課職員

日  時  6月12日(土曜日) 午前10時15分から午後0時30分
      6月12日(土曜日) 午後2時から午後4時15分
      7月4日(日曜日) 午前10時15分から午後0時30分
      7月4日(日曜日) 午後2時から午後4時15分

対  象  小学3年生以上

「版画で作ろう!オリジナル・ハンカチ&サコッシュ」  

渡辺省亭の作品集『省亭花鳥画譜』から起こした版でシルクスクリーンプリントに挑戦。オリジナルデザインのサコッシュとハンカチを制作。

講   師  片山浩 (名古屋芸術大学准教授)

日   時  6月27日(日曜日) 午前10時15分から午後0時15分
       6月27日(日曜日) 午後1時30分から午後3時30分

対 象  小学3年生以上

ギャラリートーク

日 時  6月5日(土曜日) 午後2時から午後3時
担 当  当館学芸員

バーチャルツアー(展示解説映像の上映)

日 時  6月26日(土曜日) 10時から17時
担 当 当館学芸員

 

 

関連資料

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お問い合わせ先

美術博物館

電話番号 0564-28-5000ファクス番号 0564-28-5005

〒444-0002岡崎市高隆寺町峠1番地
開館時間 10:00から17:00まで(最終の入場は16時30分まで)