産後の健康管理
出産は、育児のスタートでもあります。多くのお母さんは、出産後、慣れない赤ちゃんのお世話で余裕がなくなり、自分の身体や心の変化には目を向けられなくなります。妊娠期から、産後の自身の心身の変化、生活の変化を知っておくことで、それらの変化に混乱することなく赤ちゃんと過ごすことができます。
保健師から、産後の身体と心の変化と、日常生活で気をつけていただきたいことをお伝えいたします。
産後の身体の変化
出産後、お母さんの身体には様々な変化があります。
・ホルモンバランスの急激な変化
・出産による骨盤のゆがみや疲労
・睡眠不足・慣れない育児による疲れ
・母としての本能の芽生えで、赤ちゃんを守るためにピリピリし、感情的になる など
出産直後は、まず第一にお母さんの身体の回復を優先しましょう。休めるときに休むことを心がけ、身体に負担をかけすぎないよう注意しましょう。
里帰りなどで、おじいちゃんやおばあちゃんなどの身内の人に家事や育児を手伝ってもらえるとよいですね。
身内の人からのサポートが得られない方は、少しでも家事や育児の負担が減るように、産前産後ホームヘルプサービスや、ファミリー・サポート・センター、配食サービスなどの、子育て支援サービスを上手く利用しましょう。
○産前産後ホームヘルプサービス
○ファミリー・サポート・センター
産後の身体の変化について(PDF形式 330キロバイト)
産後の心の変化
出産後、お母さんの生活は赤ちゃん中心の生活に変化していきます。2~3時間おきの授乳、赤ちゃんが泣いたときの対処、家事と育児の両立等により、お母さんは身体はもちろん、心も疲労しやすくなります。
また、心の変化に関連したものとして、出産後起こりやすいとされている「マタニティブルーズ」が挙げられます。
ホルモンのバランスや産後の身体・環境の変化により、3人に1人(20~40%)の人が涙ぐみやすくなったり、気分が沈みやすかったり、イライラしたり、集中力がなくなったりと、心が不安定になりやすくなります。これをマタニティブルーズといいます。決して珍しくはなく、出産後2~3日から出現し、多くの場合は数週間~1か月くらいで自然に解消されます。
疲れた、辛いと感じたときには、一人で抱え込まずに、少しでも育児の負担が軽くなるように、周りに助けを求めましょう。また、ほかの人に赤ちゃんを預けて自由な時間を作る、話を聞いてもらう等の気分転換も大切です。
パパになる方へ
一番の育児の協力者であるお父さんに、お母さんの産後の心の変化について知ってもらうことも大切です。お父さんに知っていただきたい情報をまとめましたので、お二人で一緒にご覧ください。
○パパになる方へ
産後うつに注意
産後のホルモンバランスによる心の不安定は一時的なのもですが、慣れない育児の疲れと孤独感、家事と育児を両立できない罪悪感などが重なって産後うつになるお母さんもいます。
マタニティブルーズとは違い、産後うつは長引いたり症状が深刻になる心の病気です。10人に1~2人がかかると言われます。個人差がありますが、産後2~3週間頃から発症する方が多いです。次のような症状があったら、要注意です。
こんな症状があったら要注意!
・子どもがかわいく思えない
・育児に自信がもてない
・子どもの世話がまったくできない
・表情がなくなってきた
・やる気がでない
・ささいなことにイライラする
・眠れない
・楽しいことが考えられない
・心配や不安で頭がいっぱいになる
周りの人の協力が得られず、1人で育児の全てを抱え込んでしまう人、家事も育児も完璧にこなしたいという人、責任感が強い人は特に注意が必要です。
子どもがかわいく思えない、育児に自信がもてない、表情がなくなり、やる気がでないなどの症状がある場合は、保健所や医療機関に相談してください。
育児で心掛けていただきたいこと
育児は、日々お子さんの成長を感じられる喜びもある一方、ストレスも感じます。まずはお母さんが元気でいることが大切です。次のことを心がけましょう。
1. 完璧にやろうとしない
家事や仕事が完璧にできても、子育ては完璧にできないのが当たり前です。家事と育児を両立できなくても、自分を追い詰めず、「できなくてもいいんだ」と気軽に考えてください。
2. 睡眠時間の確保
夜間の授乳などで、お母さんはまとまった睡眠がとれず、睡眠不足になりやすいです。睡眠不足になると、イライラしたり集中力を欠いたりしやすくなります。「赤ちゃんが寝ている間に家事をしよう」と思いがちですが、できるだけ赤ちゃんと一緒に寝るようにしましょう。お父さんや周りの人に赤ちゃんをみてもらって長く休ませてもらうのもいい方法です。
3. 周りの人に協力してもらう
子育ては周りからの協力が不可欠です。お母さん一人で抱え込むのではなく、家族や友人など、周りの人に協力してもらいましょう。配食サービス、産前産後ホームヘルプサービスなどのサービスを利用するのも一つの手段です。
4. 育児本を参考にしすぎない
初めて子育てするお母さんにとって、育児本は強い味方ですが、赤ちゃんにも個性があり、育児本と違う状況がたくさん出てきます。育児本のとおりに育児を進めようとするのではなく、お子さんの様子に合わせた柔軟な育児を心掛けましょう。
困ったらいつでもご相談ください
育児には正解はなく、「これで大丈夫かな」と悩むことはたくさんあります。不安を感じる時には、かかりつけ医や保健所の保健師に気軽に相談してください。育児で悩んでいるときは誰かにSOSを発することも大切です。
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