ハトにエサをあげないで
ハトにエサを与えることは、ほほえましく、小さな生き物への思いやりがうかがえます。近寄ってくるハトにエサをあげたくなる気持ちはよくわかります。
ハトは本来、雑草や樹木の種子・芽などを食べる動物です。こういったものを食べている間はエサの量に限りがあり、ハトが過剰に繁殖することはほとんどありません。
しかし、人がハトにエサを与えることでハトは過剰な繁殖を繰り返し、想像もできないほど増えてしまいます。その結果、住宅のベランダなどに沢山のハトが集まるようになり、環境の被害だけではなく、健康を害する場合もあります。
その結果、有害な鳥獣として扱わざるを得なくなることは、人間・動物の双方にとって不幸なことではないでしょうか。
ハトはどんな鳥
ここでいうハトとは、飼い主のいない野生化したハトのことで、ドバトと呼ばれています。
公園や神社などで見られるドバトは、ヨーロッパ、中央アフリカ、アジアに住む野生のハトの一種、カワラバトが飼いならされたものです。
日本には古く奈良時代に持ち込まれ、通信のための伝書鳩として、また競技用のレース鳩などとして多くの人に飼われてきました。これらが野生化し、現在、全国各地で見られるドバトになっています。
ハトのためにもエサをあげないで
ハトにエサをあげると、数が増える、人をおそれなくなる、ハトが自力で生きられなくなる、被害を与えてきらわれる、などの問題が生じます。
ハトによる被害
- 公園や道路がフンや羽毛で汚れ、遊んだりくつろぐことができなくなります。
- ハトはベランダや建物の隙間に巣を作ります。巣のまわりは汚れ、ダニやハエが発生します。
ハトのフンで起こる健康被害
- アレルギー性喘息・皮膚炎(ベランダの換気口などからフンの粉末やダニのフンなどが空気中を舞って室内に侵入する)
- その他オウム病等の奇病(フンに含まれる病原体を吸引することによって経気道感染する場合がある)
健康な人は、感染しても発病しないことが多いといわれていますが、油断は禁物です。特に高齢者や幼児など抵抗力の弱い人は要注意です。
最終的に
被害を受けている場所では、建物や施設の管理者がやむを得ず専門会社にハトの駆除を依頼し、処分することがあります。その数は、全国で約10万羽が駆除されています。
皆様にお願い!
野生鳥獣の本当の保護とは、人はむやみに野生鳥獣に近づかないことです。当然、エサを与えることも生態系を乱す原因となります。
野生の生き物を本当に愛し、大切にするのなら、エサを与えず静かに見守ってください。