岡崎市民病院における損害賠償事案の発生について
岡崎市民病院において次のとおり医療事故による損害賠償事案が発生しました。
1 概要
令和5年5月に閉塞性黄だん及び肝門部胆管がんで入院した70歳代男性に、既往症の心房
細動による脳梗塞の予防のために持参した抗凝固薬(エドキサバントシル酸塩水和物錠60ミリ
グラム/日)の投与を再開したところ、視床出血(脳出血)を発症し、令和5年6月10日に亡くなら
れました。
当該患者は入院中の血液生化学検査で中等度の腎機能障害が認められており、抗凝固薬
を投与する際は、通常の半量に減量すべきところ通常量を投与したものです。
この件に関しては、患者の担がん状態に伴う全身状態の低下を考慮すれば、抗凝固薬の投
与を半量に減量したとしても視床出血を発症する危険性はありました。しかし、中等度の腎機
能障害の患者に対しては、添付文書どおりに減量して投与すべきであり、減量せずに投与し
たことによる視床出血の発症及び出血の増大、死亡との因果関係は否定できないため、本市
の過失を認め、和解に応じるものです。
2 損害賠償額
1,000万円
3 経過
⑴ 臨床の経過
・令和5年5月26日
閉塞性黄だんと診断され入院する。血液生化学検査にて中等度の腎機能障害が認めら
れた。
・令和5年5月31日
肝門部胆管がんと診断した。入院時から絶食のため服薬を中止していたが、既往症の心
房細動による脳梗塞予防のため、抗凝固薬の通常量の投与を再開した。
・令和5年6月5日
高度の貧血を認め、十二指腸潰瘍からの出血と診断し、抗凝固薬の投与を中止した。
・令和5年6月8日
十二指腸潰瘍の治療後、抗凝固薬の通常量の投与を再開した。
・令和5年6月9日
視床出血を発症した。
・令和5年6月10日
死亡
⑵ その後の経過
ア 医療事故調査会等の検討
・令和5年6月9日
薬剤師が、所属長及び医療安全管理室(現在は医療安全推進センター)に本事案をイン
シデント報告した。
・令和5年6月22日
担当医、薬剤師、病棟看護師、医療安全管理室職員による事例検討会で事実の確認を
行い、本事案が入院治療中に起こった予期せぬ死亡であり、その死亡が当院の医療に起
因する可能性があると判断し、医療事故調査会による調査を実施することとした。
・令和5年10月6日
外部委員2人を含む6人による医療事故調査会を開催した。
イ 損害賠償請求と和解
・令和6年11月5日
ご遺族及び相手方弁護士に医療事故調査報告書を説明した後に、ご遺族から質問書を
受領した。
・令和6年12月7日
ご遺族が相手方弁護士を損害賠償示談交渉の代理人に委任した。
・令和6年12月24日
当院と顧問弁護士との協議において、抗凝固薬を減量しなかったことと、視床出血の発
症及び出血増大、死亡との因果関係の否定は困難である事案として、過去の判例等に鑑
みた損害賠償額で顧問弁護士が相手方弁護士と和解交渉を行うことを確認した。
・令和7年4月17日
和解交渉の結果、1,000万円を支払う方針とし、令和7年6月定例会に関係議案を提出す
ることで相手方弁護士と合意する。
4 その他
令和7年6月定例会へ医療事故による損害賠償の議案を提出し、議決後速やかに手続を行い
ます。
お問い合わせ先
担当部署:市民病院事務局総務課
電話番号:0564-66-7237