国指定:建造物 旧額田郡公会堂及物産陳列所(附:門柱、棟札、銘札)
旧額田郡公会堂及び物産陳列所(附:門柱、棟札、銘札)
建物概要
旧額田郡公会堂
旧額田郡の公会堂として現在地に建てられました。大正5年の市制施行に伴って旧額田郡より岡崎市に譲渡、「岡崎市(中央)公会堂」と改称されました。地方自治の拠点として額田郡会議事堂として用いられたのをはじめ、各種の会合が開催されました。その後、昭和44年(1969)からは市郷土館本館棟として活用・保存されてきました。
”岡崎一のモダンな西洋館〟であったといわれ、今も構造面では竣工当時の姿をほぼそのまま保っています。出入口や窓外側にみられる鉄製の竪格子は防犯上、後から取り付けられたものです。また、なかなかの評判であったという「セリ上がり式」の正面舞台は、数十年間にわたり床下に収納されたままでしたが、調査の結果セリ上がりができる構造が残存していることがわかりました。
木造平屋建て、桟瓦葺きの建物は、会堂棟・通用玄関棟・便所棟からなり、会堂棟の内部は建物の中心となる講堂のほか、中央に玄関ポーチ、東端に控室、西端に貴賓室を設けています。郷土館開館中は、講堂は展示室、控室・貴賓室は研究室として使われていました。意匠面では外観において中央玄関上部の櫛形ペディメントと飾手摺、その左右にある切妻屋根のレリーフ(浮彫り)でルネサンス様式を用いており、内部においてはギリシャ建築の様式となるドリス式円柱・楕円アーチで舞台背後をかざり、各部屋に合わせた天丼飾りや漆喰塗りの大壁など左官仕事に多くの見所があります。
旧額田郡物産陳列所
当初、額田郡公会堂の北側、現せきれいホール事務所の位置に南向きに建てられていた建物です。大正2年4月に松井茂愛知県知事が工事現場を視察する(『額田郡時報』第十号)など、当時としては珍しい”スマートな物産陳列所〟として注目を浴びました。地域産業振興の拠点として、この地方産出の商品や他地方の工芸品を陳列する各種の展覧会・陳列会が開催され、とくに大正4年の大礼記念額田郡物産展覧会は盛況を極めたと伝えらています。公会堂とともに岡崎市へ移譲後は「岡崎物産陳列所」・「岡崎市商品陳列所」等と改称されました。昭和36年、県勤労会館(現せきれいホール)建設に伴ない、国道1号沿いの現在地に北向きに移築されました。その後は、剣道・ボクシング・空手の屋内体育場としても使用され、郷土館開館中は収蔵庫棟として、民俗資料を中心に収蔵・保管されていました。
木造平屋建て、切妻造桟瓦葺き建物で、内部は大きな広間一室からなっています。出入口は建物正面・背面(南側)。西側の3カ所にあり、外壁軒廻りの小壁、内部の壁面上部と天井は漆喰塗りで仕上げています。東西の妻面と正面両翼の妻面にハンマービーム(壁面の上端などで水平に梁をはね出し、アーチで支える手法)を用いて半円アーチでかざり、四つ葉のクローバー型の花窓を用いるなど、同年に建てられた公会堂とは異なったモチーフで外観を特色づけています。
国指定重要文化財としての指定理由
・わが国における最初期の郡単位の公会堂・物産陳列所建築であり、両者が⼀組で現存する数少ない例として貴重である。
・地⽅都市における公共建築の近代化を⽰すとともに、地⽅における⻄洋建築の様式的・技術的修得過程の達成度を⽰す建築遺構としても意義が認められる。
ふりがな | きゅうぬかたぐんこうかいどうおよびぶっさんちんれつじょ(つけたり:もんちゅう、むなふだ、めいふだ) |
指定(種別) | 国指定重要文化財(建造物) |
員数 | 2棟 |
指定年月日 |
平成11年12月1日 |
所在地 | 岡 |
所有者 | 岡崎市 |
建築年代 | 大正時代 大正2年(1913)建築 |
公開情報 | 外観見学可
※耐震不足により、平成22年度から内部については非公開となっています。 (棟札、銘札は岡崎市美術博物館寄託) |
参考文献 |
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リンク |
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注意:文化財の概要については、新たな発見や再調査により記載内容が変更となる可能性があります。
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