子どもの予防接種の一般的注意事項
一般的注意
予防接種は体調のよいときに受けるのが原則です。日ごろから保護者のかたはお子さんの体質・体調など健康状態によく気を配ってください。安全に予防接種を受けられるよう、保護者のかたは以下のことに注意の上、当日に予防接種を受けるかどうか判断してください。
- 当日は、朝からお子さんの状態をよく観察し、ふだんと変わったところのないことを確認するようにしましょう。
予防接種を受ける予定であっても、体調が悪いと思ったら、かかりつけ医に相談の上、接種するかどうか判断するようにしましょう。 - 受ける予定の予防接種について、通知などをよく読んで、必要性や副反応について理解しましょう。わからないことは接種を受ける前に接種医に質問しましょう。
- 母子健康手帳は必ず持っていきましょう。
- 予診票は、接種する医師への大切な情報です。責任を持って記入するようにしましょう。
- 予防接種を受けるお子さんの日頃の健康状態をよく知っている保護者のかたが連れていきましょう。
なお、予防接種の効果や副反応などについて理解した上で、接種に同意したときに限り、接種が行われます。
予防接種を受けることができない場合
- 明らかに発熱(通常37.5度以上)をしているお子さん
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかなお子さん
- その日に受ける予防接種の接種液に含まれる成分で、アナフィラキシーを起こしたことがあることが明らかなお子さん。
(補足)「アナフィラキシー」というのは通常接種後約30分以内に起こるひどいアレルギー反応のことです。汗がたくさん出る、顔が急に腫れる、全身にひどいじんましんが出るほか、はきけ、嘔吐、声が出にくい、 息が苦しいなどの症状に続きショック状態になるような、はげしい全身反応のことです。 - BCG接種の場合においては、予防接種、外傷などによるケロイドが認められるお子さん
- B型肝炎の予防接種の対象者で、母子感染予防として、出生後にB型肝炎ワクチンの接種を受けたお子さん
- その他、医師が不適当な状態と判断した場合
上記1~5に当てはまらなくても、医師が接種不適当と判断した時は、予防接種を受けることはできません。
予防接種を受けるに際に注意を要する場合
以下に該当すると思われる保護者のかたは、かかりつけ医がいる場合には必ず前もってお子さんを診てもらい、予防接種を受けてよいかどうかを判断してもらいましょう。受ける場合には、かかりつけ医のところで受けるか、あるいは診断書または意見書などをもらってからほかの医療機関で予防接種を受けるようにしてください。
- 心臓病、腎臓病、肝臓病、血液の病気や発育障がいなどで治療を受けているお子さん
- 予防接種で、接種後2日以内に発熱のみられたお子さん及び発疹、じんましんなどアレルギーと思われる異常がみられたお子さん
- 過去にけいれん(ひきつけ)を起こしたことがあるお子さん。
けいれん(ひきつけ)の起こった年齢、その時熱があったか、熱がなかったか、その後起こっているか、受けるワクチンの種類などで条件が異なります。必ず、かかりつけ医と事前によく相談しましょう。 - 過去に免疫不全の診断がなされているお子さん及び近親者に先天性免疫不全症の人がいるお子さん(例えば、赤ちゃんの頃、肛門のまわりにおできを繰り返すようなことがあったかたの場合)
- ワクチンにはその製造過程における培養に使う卵の成分、抗菌薬、安定剤などが入っているものがあるので、これらにアレルギーがあるといわれたことのあるお子さん
- BCG接種の場合においては、家族に結核患者がいて長期に接触があった場合など、過去に結核に感染している疑いのあるお子さん
- ロタウイルス感染症の予防接種においては、活動性胃腸疾患や下痢等の胃腸障がいのあるお子さん
予防接種を受けた後の一般的注意事項
- 予防接種を受けた後30分程度は、医療機関でお子さんの様子を観察するか、医師とすぐに連絡をとれるようにしておきましょう。急な副反応が、この間に起こることがまれにあります。
- 接種後、生ワクチンでは4週間、不活化ワクチンでは1週間は副反応の出現に注意しましょう。
- 接種部位は清潔に保ちましょう。入浴は差し支えありませんが、接種部位をこすることはやめましょう。
- 接種当日は、はげしい運動はさけましょう。
- 接種後、接種部位の異常な反応や体調の変化があった場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。
ワクチンを接種する場合の間隔
予防接種で使うワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンがあり、注射生ワクチン同士を接種する場合には間隔(27日以上あける)を守ることが必要です。
異なった種類のワクチンを同時に接種する場合もあります。医師とよく相談してください。
なお、同じ種類のワクチンを複数回接種する場合には、それぞれ定められた間隔があるので、間違えないようにしてください。
詳しくは、厚生労働省ホームページ(新しいウィンドウで開きます)をご覧ください。
副反応が起こった場合の対応
(1)通常みられる反応
ワクチンの種類によっても異なりますが、発熱、接種局所の発赤・腫脹(はれ)、硬結(しこり)、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められます。通常、数日以内に自然に治るので心配の必要はありません。
(2)重い副反応
予防接種を受けたあと、接種局所のひどいはれ、高熱、ひきつけなどの症状があったら、医師の診察を受けてください 。お子さんの症状が予防接種後副反応疑い報告基準に該当する場合は、医師から独立行政法人医薬品医療機器総合機構へ報告が行われます。
ワクチンの種類によっては、極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障がいなどの重い副反応が生じることもあります。このような場合に我が国の従来からの救済制度の基本的な考え方「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後に現れた症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も救済の対象とする」にそって、救済の審査を実施しており、厚生労働大臣が認定したときは、予防接種法に基づく健康被害救済の給付の対象となります。
(3)紛れ込み反応
予防接種を受けたしばらく後に、何らかの症状が出現すれば、予防接種が原因ではないかと疑われることがあります。しかし、たまたま同じ時期に発症した他の感染症などが原因であることが明らかになることもあります。これを「紛れ込み反応」と言います。
(4)予防接種健康被害救済制度
- 定期接種により引き起こされた副反応により、生活に支障がでるような障がいを残すなどの健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく給付を受けることができます。
- 健康被害の程度等に応じて、医療費、医療手当、障害児養育年金、障害年金、死亡一時金、葬祭料の区分があり、法律で定められた金額が支給されます。死亡一時金、葬祭料以外については、治療が終了する又は障がいが治癒する期間まで支給されます。
- ただし、その健康被害が予防接種によって引き起こされたものか、別の要因(予防接種をする前あるいは後に紛れ込んだ感染症あるいは別の原因等)によるものなのかの因果関係を、予防接種・感染症医療・法律等、各分野の専門家からなる国の審査会にて審議し、予防接種によるものと認定された場合に給付を受けることができます。
- 予防接種法に基づく定期接種として定められた期間を外れて接種を希望する場合、予防接種法に基づかない接種(任意接種)として取り扱われます。その場合、予防接種で健康被害を受けた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済を受けることになりますが、予防接種法と比べて救済の対象、給付額等が異なります。
なお、任意接種(おたふくかぜワクチン、季節性インフルエンザワクチン等)で健康被害を受けた場合も、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済の対象となる場合があります。
給付申請の必要が生じた場合には、下記担当課へご相談ください。
救済制度について、詳しくは、以下のリンクをご覧ください。
・厚生労働省「予防接種健康被害救済制度について」(新しいウィンドウで開きます)
申請から認定・支給までの流れ、必要な書類(様式のダウンロード可)、給付額等が分かります。
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(新しいウィンドウで開きます)
「くすりによる健康被害にあったら」の「医薬品副作用被害救済制度」をご覧ください。また、「医薬品副作用被害救済制度相談窓口」もご利用ください。