市制施行107周年記念式・市長式辞 (令和5年7月1日)
市制施行107周年記念式式辞
本日ここに、岡崎市制施行107周年の記念式を挙行いたしましたところ、公私とも御多忙の中、多数の御臨席を賜り、厚くお礼申し上げます。
本市は、大正5年7月1日に、県下では3番目、全国では67番目に市制を施行して以来着実に発展を遂げ、本日107周年を迎えることができました。これもひとえに、先人のたゆまぬ努力と市民の皆様方の格別なる御理解と御協力の賜物であると心より感謝を申し上げます。
まず始めに、6月2日の大雨によって被災された方々に対し、謹んでお見舞い申し上げます。総代さんを始め地域住民や地元消防団の皆様、災害協力協定を結んでいる事業所の皆様、そして三菱自動車岡崎製作所、FCマルヤスを始め企業や個人を含め延べ600人近くの災害ボランティアの皆様から、復旧に向け多大な御尽力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。
本市としましても、一刻でも早く日常生活を取り戻せるよう、災害ごみの受け入れ、災害ボランティア支援センターの立ち上げ、罹災証明の臨時窓口設置、災害給付支援金の募集など迅速な対応を心がけました。
6月21日には、西尾市・幸田町と共に農林水産省に赴き、広範囲に渡る農地の水没や土砂崩れ、集落排水処理施設などへの深刻な被害に対する、総合的な支援を要請いたしました。
国では、6月の梅雨前線豪雨等による災害について、激甚災害に指定する準備が進められており、農地、農道や水路などの農業用施設や林道の災害復旧事業について、通常の国庫補助率をかさ上げするなどの措置がとられる予定です。
この件に関しまして、本日御臨席の国会議員、県議会議員の皆様を始めとする関係者の皆様の御支援に厚く御礼申し上げます。
自然災害の頻発・激甚化、また今回見舞われたような事態の急変を想定しまして、市民の命と暮らしを守る、より災害に強く、より安全・安心なまちづくりに向け、河川や排水路の改修を着実に進めてまいります。
コロナ禍中においては、「5万円のすくすく赤ちゃん支援金」や高齢者、子どもへのクオカードや図書券の配布など、様々な生活支援や経済対策を講じてまいりました。
新型コロナウイルス感染症は、5月8日から季節性インフルエンザと同様の5類感染症へと、法的位置づけが変更されました。これまでのコロナ禍における医療従事者の皆様の御尽力や市民の皆様の御協力に対しまして、心より感謝申し上げます。
5類移行後も、本市では高齢者等への感染防止対策や発熱時の相談窓口など、市民の皆様の安心につながるサポート体制を維持継続しております。
新型コロナワクチン接種につきましては、国の方針により、重症者を減らすことを目的に、引き続き1年間、無料の接種が継続されることとなりました。現在、65歳以上の方や基礎疾患を有する方などを対象に接種が実施されております。
さらに秋には、追加接種可能な全ての年齢を対象とした接種も予定されています。
今後も岡崎市医師会など関係機関と連携し、希望する市民の皆様が安心して接種を受けられる環境を、築いてまいります。
私は、1月の新年交礼会で、今年を「ジャンプアップ2023 どラマチックイヤー」と名付け、岡崎の強みを更に活かす取組を推進しています。
岡崎の将来を担う子どもたちに向けた、よりよい学習環境づくり、また子育てしやすい環境づくりは、たいへん重要な市政課題です。
チーム学習を推進し、子どもたち一人一人をきめ細やかに支援する「32人学級プロジェクト」は、4月から市内公立小学校でスタートいたしました。個別最適化された学びの実現に向け、今年度は小学1年生から、段階的に進めてまいります。
また、学校や教室に行きづらさを感じていたり、集団生活が苦手で不安を抱えていたりする子どもの居場所、「校内フリースクールF組」については、今年度は6校増やし、市内全中学校への設置が完了しました。さらにスクールソーシャルワーカーを2名増員し、アドバイザーを含めた14名で相談体制の充実を図っております。
昨年度、市内全中学校の普通教室に電子黒板を整備し、電子黒板が持つ利点を活かした学習活動がスタートしました。今年度は、市内全小学校の4年生から6年生の普通教室に整備してまいります。
学校給食費につきまして、本市では平成21年度から14年間、改定することなく据え置いてきましたが、食材料費の高騰などで給食の質や栄養価を維持することが困難となり、やむを得ず、物価高騰分を引き上げる改定を行いました。ただし、今年度につきましては、引き上げした部分に国の交付金を充てることで保護者の負担額を引き続き据え置くこととしております。また平成28年度から続けている、4月分の給食費無償化につきましても、例年どおり実施しました。
急激な給食材料費高騰という状況におきましても、給食の質、量を落とすわけにはまいりません。限りある予算の中で、将来を担う子どもたちが「生きる力」を身に着けられる環境づくりなど、教育事業全体の充実を図ってまいります。
4月から公私立保育園・公立こども園で使用済紙おむつの廃棄を開始し、保護者の皆様の利便性の向上と、衛生面での改善を図っております。
おむつのサブスクサービスにつきましては、昨年度から検討を重ね、この6月から公立保育園全園におきまして、試験的に2か月間の無料お試し利用を開始しております。今後、保護者アンケート及び検証を行い、支障がなければ8月から正式に導入する予定です。
令和5年1月から「岡崎市プレママ・ベビーケア応援事業」を開始しました。国の出産・子育て応援交付金を活用し、面談等により妊娠・子育て期の不安に寄り添い、切れ目ない支援につなげる「伴走型相談支援事業」と、経済的な負担軽減を図る「出産・子育て応援交付金事業」を、一体的に行うものです。
妊娠期の支援であるプレママ応援金では、妊婦を対象に5万円を支給し、また、出産後の支援であるベビーケア応援金では、養育者を対象に新生児1人当たり5万円を支給いたします。
さらに従来の対面・訪問・電話による相談に、新たにオンライン方式を加え、相談しやすい環境を整えてまいります。
本市では、地域共生社会の実現に向けて、多様な世代や属性の人たちが交流できる「ごちゃまぜ福祉」を目指しております。
高年者センター岡崎及び地域福祉センターでは、4月から、利用者の年齢制限を緩和しております。子育て世帯や児童・生徒、障がい者などが集える地域の居場所となるようロビーを開放し、囲碁・将棋・ボードゲームや入浴など、自由に過ごしていただけるようになりました。
また、施設内の地域包括支援センターをまちのふくしサポート室「まちサポ」とし、身近なところで、多世代の方から福祉の総合相談ができる窓口として設置しております。
市役所窓口において、時に意思疎通が難しい聴覚障がい者や高齢者の皆様へのサービス向上を目的に、ふくし総合サポート窓口では、音声認識システムの実証実験を始めました。会話の内容がリアルタイムで文字化され、モニターに表示されるため、スムーズな意思疎通が期待できます。今後、効果の検証を行ってまいります。
障がいのあるかたが特性に応じて多様なコミュニケーション手段を利用していることを鑑み、障がいを持つ方々の更なる社会参加と市民の理解を促進するための「コミュニケーション条例(仮称)」の制定に向け、市民の皆様の声を聴く取組を始めめております。
障がいのあるかたもないかたも同じように情報を取得して意思や感情を伝えあい、お互いを尊重し、共に支えあう地域社会の実現を目指してまいります。
6月1日から、若年のがん患者の方が住み慣れた自宅で安心して療養生活を送ることができるよう、在宅療養にかかる費用に対して補助する「若年がん患者在宅ターミナルケア補助事業」を開始しております。また、7月3日からは、50歳以上を対象とした「帯状疱疹の予防接種費用の一部助成」を開始してまいります。
少しでも皆様の助けになることを願っております。
人と動物が共生したより良い社会を目指して、動物愛護寄附金を募集しています。寄附を財源に、飼い主のいない猫の避妊・去勢手術した市民に対して手術費用の一部を補助してまいります。
本市では、市民の皆様の暮らしを守り、暮らしの質を高める都市づくりを進めております。
阿知和地区では、工業団地とスマートインターチェンジを一体のものとして整備をしてまいります。
令和8年度末の完成を目指す阿知和地区工業団地につきましては、現在は設計と許認可などの手続を進めております。本年9月には造成工事に着手し、また、第2期分の進出予定企業の募集を開始したいと考えております。
スマートインターチェンジの整備につきましては、周辺道路整備と合わせて工事に着手しました。進出予定企業の操業開始までには開通できるよう、取り組んでまいります。
本宿駅周辺地域は、3月に、愛知県による都市計画の変更が行われ、市街化区域へ編入されました。
6月27日には、三井不動産株式会社に対しまして、土地区画整理による基盤整備の事業認可を行いました。いよいよ、本格的な道路工事、造成工事が始まります。
東岡崎駅周辺整備につきましては、南北自由通路及び橋上駅舎(きょうじょうえきしゃ)などを整備する工事の委託契約議案が先の6月定例会で可決されたところでありまして、いよいよ東岡崎駅の第2期整備が始まります。
第2期整備では、新駅ビル及びバスターミナルなどを整備する市街地再開発事業も一体で進めていく予定でございます。工事の進捗に伴い、様々な御不便をおかけすることになりますが、本市の玄関口であるヒガオカのリニューアルは、市民の切なる願いでもあります。令和10年度の橋上駅舎完成、令和11年度の新駅ビル完成に向け、市民の皆様の安全な御利用をしっかりと守りながら、鋭意取り組んでまいります。
岡崎駅西口自転車等駐車場用地の活用につきましては、子どもから大人まですべての世代がくつろぎ、笑顔になれるような場所を目指し、賑わい・子育て拠点「エキニシコマチ」をコンセプトに、令和6年度の春以降の開業を目指し、岡崎駅西口の新たな拠点として整備してまいります。
六ツ美中部学区の「チョイソコおかざき」に続いて、矢作地域では本年1月から「矢作デマンド」の実証運行を開始しました。どちらも地域の方々により、本格運行に向けた改善が続けられております。がんばる地域を引き続き応援し、公共交通の不便な地域の解消に努めてまいります。
市内では名鉄バスの多くの路線が維持されています。令和2年に高齢者向けのフリーパスが発売されて以来、期間限定ではありますが、本市は毎年、購入される方に補助をしてきました。今年は補助金を増額し、1か月あたり1,500円としまして、7月1日、本日の購入分から補助対象です。安全や環境の面から、一人でも多くの方に公共交通をご利用いただければと考えております。
新しい移動手段のグリーンスローモビリティは、時速20キロメートル未満で公道を走ることができる電動車で、脱炭素で移動しやすい交通手段として期待されています。6月には北斗台で試乗会を行い、参加者からは「乗り心地が良い」「明るく楽しい街づくりに貢献できそう」などの感想をいただいております。
一歩先の暮らしの実現に向けて、脱炭素かつスマートなグリーンスローモビリティの有効活用を模索していきます。
岡崎の奥座敷「オクオカ」では、中山間地域を魅力ある持続可能な地域としていくための取組を行っています。
事業者からの提案を受け、中山間地域における地域コミュニティの創出を図るため、日々の買い物に不便を感じている高齢者のかたなどの生活支援として、移動販売車「うえたん号」の運行を開始しました。
また、荒廃が進んでいる竹林を整備するために伐採した竹を竹炭に加工し、その竹炭を添加したえさを与えて育てた新たなブランド豚「岡崎竹千代ポーク」が誕生しました。市内の精肉店で販売しているほか、市内飲食店では竹千代ポークを使用した商品が提供されています。
わんパークにおいては、未利用地の活用を民間事業者と連携して、こどもと森が触れ合える施設の設置を、地元と協議して進めてまいります。
脱炭素に対する取組も進めております。
本市は昨年11月に地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の「脱炭素先行地域」に選定されておりますが、さらに4月28日付けで、「重点対策加速化事業」が採択されました。公共施設への太陽光設備の設置や、脱炭素に貢献する設備機器向け補助制度の構築など、2つの交付金事業により、2050年ゼロカーボンシティの実現に向け着実に取り組んでまいります。
熱中症の更なる拡大を防ぐため、本日7月1日から9月30日までの3か月間、市内15箇所の公共施設を、暑さをしのぐ休憩所としてご利用いただける「クールシェアおかざき2023」を実施します。特に岡崎公園では、市内外多数のご来訪が予想されることから、大河ドラマ館横に、トレーラーハウスを活用したクーリングシェルターを設置します。
三菱自動車工業株式会社様、西日本三菱自動車販売株式会社様と締結しました「森林保全活動連携協定」の活動地として、岡崎市の細光市有林を「岡崎アウトランダーの森」といたしました。森林整備は喫緊の課題と捉え、ゼロカーボンシティの実現だけでなく、森林の持つ様々な公益的機能を十分に発揮させるため、今後も皆様と一緒に森林施策に取り組んでまいります。
就任以来続けております市民の皆様との対話につきまして、今年度は、実際に不安や心配などを抱えている市民の声を直接聴き、その内容を市政に反映していきたいと考え、「がんになったかた、その家族や支援をしているかた」「子どもの障がいの疑いや発達への心配を抱えるご家族」「知的障がい者のご家族」を対象とした「まちづくりほっとミーティング」を開催いたします。
若者の意見を聴き、若者と一緒に岡崎を考え、魅力ある岡崎を一緒に作る取組を、引き続き積極的に行ってまいります。
まずは岡崎大学懇話会と共同して、市内大学の学生のみなさんを「岡崎探検隊!!」として任命し、大河ドラマ「どうする家康」をきっかけに岡崎の魅力を発信するプロジェクトを進めております。
また中京大学経済学部の学生の皆さんには「水道水を飲んでもらうための取組」「下水道の大切さを伝える取組」をテーマに、解決策の検討を行っていただいており、7月中旬の成果発表を予定しております。
さらには、関東の横浜市立大学、関西の近畿大学と連携し、東海オンエアで盛り上がる岡崎の若者観光を、県外の大学生の目線でさらに磨きをかける新たな取組も進んでいます。
このほか、高校生ならではの視点を活かした魅力発信や、高校生の「やってみたい」企画などを市がサポートし実行する「高校生まちづくりプロジェクト」を、今年も進めてまいります。
6月に来館者25万人を突破した「大河ドラマ館」ですが、岡崎市民の入館料が半額となる市民割 第2弾を本日より8月31日まで実施します。
また、郷土の英雄である徳川家康公や三河武士について学ぶ機会を提供し、歴史学習、郷土学習への取組のきっかけとしていただくため、平日の大河ドラマ館については、愛知県内の小中学生と引率者を対象に、学習や遠足を目的とした入館を無料としています。また、学校が休みとなる夏休み期間にも、歴史の自由研究などに活用していただけるように、愛知県内の小中学生の入館料を無料とします。
夏にドラマ館の展示替えも予定されており、リニューアル前、リニューアル後もお得にお楽しみいただける機会となっています。他にも様々な夏のイベントを企画しております。
その第一弾としまして、今月3日から17日まで、ドラマ館前に献花台を設け、徳川家の発展と岡崎の安寧に大きく貢献した瀬名こと築山殿、そして長男の信康へのメッセージカードを用意いたします。明日2日の大河ドラマで描かれる「信康事件」と連動した企画で、多くの市民の皆様をお待ち申し上げております。
会場でもチラシを配布させていただいておりますが、美術博物館では、本日7月1日から8月20日まで、NHK大河ドラマ特別展「どうする家康」を開催します。この展覧会では、市民割引や大河ドラマ館との相互割引も実施いたします。
大河ドラマ館、美術博物館の特別展ともに、是非多くのかたに足をお運びいただき、徳川家康公に関する知識をより深めていただければと思います。
現在放送中の大河ドラマ「どうする家康」ですが、家康公や瀬名、家臣団が岡崎を守り、戦乱の世を終わらせようとする姿に、現在を生きる私たちも心を熱くし、連綿と続く岡崎の歴史の重みに一層の誇りと愛着を感じる展開となって参りました。「どうする家康」の舞台は家康公が居城を浜松に移した後も、岡崎がど真ん中。
これまで、市民の皆様と一丸となって取り組んできたドラマの盛り上げやおもてなし、また、ドラマを機に再認識した家康公生誕の地としてのアイデンティティを未来へ繋ぐべく、新しい体制を作り、大河ドラマ終了後もその活力を維持し続けるよう取り組んでまいります
私は、日頃、岡崎を「家康公と江戸、八丁味噌と花火のふるさと」と表現させていただいています。家康公は「厭離穢土 欣求浄土」という大願を掲げ、260年の太平の世を築き、成就いたしました。「家康公のふるさと」ということは、岡崎が夢をかなえるまちだということです。
江戸は、まさに三河武士が拓いた都市。
八丁味噌は、三河武士の健康長寿の源で、市民が全国に誇る発酵食品。
花火は、火薬の平和利用で、家康公が築いた天下泰平の世の賜物であり、岡崎が誇る平和の祭典であり、岡崎愛そのものです。
やはり岡崎は平和のふるさとです。
この先、岡崎市が盛り上がる行事が多く開催されます。
岡崎の夏の風物詩である花火大会を8月5日(土)に開催します。今年は、観覧席の数を、前年の15,000席から20,000席とし、過去最大規模の観覧席数といたします。また、岡崎の花火大会初となる地上波テレビでの生中継がテレビ愛知様において計画されております。
下水道事業100周年である今年、10月に「マンホールサミット」を中部地方で初めて開催します。デザインマンホール蓋や関連企画を通じて、普段市民に見えない下水道の魅力を感じていただきます。
地元農産物を使用した「1万人鍋」を、この秋開催する予定です。農産物に触れ、農業振興を考える場となるよう、地消地産、有機農産物の使用、子どもたちが育てた農産物の活用など様々な内容を盛り込み、岡崎の農業振興を盛り上げる象徴的な行事を目指してまいります。
秋に延期した家康行列は、10月28日土曜日に開催いたします。大河ドラマ「どうする家康」で大いに盛り上がる本市にふさわしい、豪華な家康行列となるよう鋭意、準備を進めております。詳しい内容につきましては、決まり次第発表してまいりますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
最後に、本日の式典では、それぞれの分野で本市の発展に多大な貢献をされました皆様の表彰をさせていただきます。
表彰の栄に浴されます皆様には、心からお祝い申し上げますとともに、皆様方とともに本市の栄えある107周年を祝えることに、心から感謝申し上げます。どうか今後とも健康に御留意いただき、なお一層、本市の発展に御尽力、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
市民の皆様方の御健勝、御多幸を心より祈念申し上げまして、式辞といたします。
令和5年7月1日
岡崎市長 中 根 康 浩