国指定:絵画 大方丈障壁画岡田為恭筆
大方丈障壁画岡田為恭筆
大樹寺にある大方丈障壁画岡田為恭筆は、安政2年(1855)の火災後に再建された大樹寺の大方丈と本堂の障壁を飾るために描かれた作品群で、冷泉(岡田)為恭(1823~64)の作です。
平安時代以来の大和絵の復興をめざして江戸末期に活躍した画家たちを復古大和絵派と呼びますが、為恭はその代表者でした。寺の再建に際し、作画を依頼された為恭は、安政4年(1857)の夏から秋にかけての4ヵ月の間に140以上にも及ぶ障壁画作品群を完成させました。その中でも、大方丈上段之間・下段之間の子日遊(ねのひのあそび。正月最初の子の日に野に出て小松を引き抜き、若葉を摘んで遊び、宴を設けた行事。)図と茸狩(きのこがり)図及び上段之間戸袋4面に描かれた琴棋書画(きんきしょが。中国古来の文人における必須の教養や風流事を意味する、「琴」、「囲碁」、「書」、「絵」の四芸の事で )図は特に注目に値します。子日遊図と茸狩図は、天井と畳を除くすべての壁画に王朝絵巻の世界を拡大して、パノラマ的に描かれており、また、琴棋書画図では、漢画で用いられた画題を大和絵手法で端正にまとめあげています。これらの他に93面の襖絵と杉戸絵がありますが、こちらは画題・構成・描法ともに漢画的です。大樹寺の障壁画は、幕末にあって復古大和絵の画家たちがめざした「古典」の復興というものが、大和絵のみならず、漢画のそれも復興させるという複合した形で達成されている貴重な資料であり、近世障壁画の最後を飾る一大障壁画群であるといえます。
ふりがな |
おおほうじょうしょうへきがおかだためちかひつ |
指定(種別) | 国指定重要文化財(絵画) |
員数 | 49面 (附96面) |
指定年月日 | 昭和29年3月20日 |
所在地 | 岡崎市鴨田町字広元 MAP(新しいウィンドウで開きます) |
所有者 | 大樹寺 |
管理者 | 大樹寺 |
時代 | 江戸時代 安政4年 |
参考文献 |
|
リンク | 文化財ナビ愛知(新しいウィンドウで開きます) |
注意:文化財の概要については、新たな発見や再調査により記載内容が変更となる可能性があります。
▼岡崎市指定文化財目録へもどる