国指定:絵画 絹本墨画淡彩如意輪観音図
絹本墨画淡彩如意輪観音図
大樹寺にある絹本墨画淡彩如意輪観音図は、波が打ち寄せる岩上の上に、円相を背にした如意輪観音が思惟(しゆい)する姿を描いたもので、大きさは縦88.5cm×横36.7cmです。
左下方には、観音の端正な姿を仰ぎ見上げる龍が描かれています。描線はしなやかで美しく、透けるような着衣の表現は的確です。また、観音は金泥や朱、緑青で文様が施されており、肉身の輪郭は朱線で括るという伝統的な仏画の手法に従うことにより、神秘的な姿をよくとらえています。一方、素地を塗り残した岩座の表面の描写や、濃淡の墨を面的に使用した岩の稜線の表現など、水墨画的技法によって現実感あふれたものとなっています。上方に弘安2年(1279)に無学祖元とともに来日した来朝した中国僧鏡堂覚円(1244~1306)が鎌倉の建長寺の住職を務めていた正応3年(1290)から正安2年(1300)の間に記した賛があるため、この絵もその期間に制作されたと推定されます。伝統的な仏画技法と新しい水墨技法をうまく融合させた本図は、初期水墨画中の傑作といえます。家康の祖父松平清康が大樹寺に寄進したものと伝えられています。
ふりがな |
けんぽんぼくがたんさいにょいりんかんのんず |
指定(種別) | 国指定重要文化財(絵画) |
員数 | 1幅 |
指定年月日 | 昭和29年3月20日 |
所在地 | 岡崎市鴨田町字広元 MAP(新しいウィンドウで開きます) |
所有者 | 大樹寺 |
管理者 | 岡崎市美術博物館(高隆寺町)寄託 |
時代 | 鎌倉時代 |
参考文献 |
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リンク | 文化財ナビ愛知(新しいウィンドウで開きます) |
注意:文化財の概要については、新たな発見や再調査により記載内容が変更となる可能性があります。
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