防災管理制度について
防災管理制度とは
近年東海地震、東南海・南海地震や首都直下型地震の発生が切迫している状況を踏まえ、一定の大規模・高層の建物について、現行の防火管理制度に準じて「防災管理制度」が新たに規定されました。(平成21年6月1日施行)
防災管理制度では、防災管理者の選任、防災に係る消防計画の作成、自衛消防組織の設置、防災管理点検などを実施する必要があります。
防災管理が必要な防火対象物
防災管理を行わなければならない防火対象物(防災管理対象物)は次の要件を満たした防火対象物となります。
用途
共同住宅((5)項ロ)、格納庫等((13)項ロ)、倉庫((14)項)を除いたすべての用途(文化財((17)項)も含む。)
規模等
階数が4以下で延べ面積5万平方メートル以上
階数が5以上10以下で延べ面積2万平方メートル以上
階数が11以上で延べ面積1万平方メートル以上
延べ面積が1,000平方メートル以上の地下街
令2条が適用される同一の管理権原の防火対象物が、同一敷地内に複数ある場合
- 面積
個々の防火対象物の面積を合算 - 階数
最も階数の多い防火対象物の階数で全体の階数を判断
防災管理者
防災管理対象物では管理権原者が防災管理者を選任し、消防長へ届出する必要があります。
防災管理者は、法令で定められた資格を有する者で、かつ防災管理対象物において防災管理上必要な業務を適切に遂行できる管理的又は監督的地位にある者でなければなりません。
また防災管理者は防火管理者を兼任し、防火管理業務及び防災管理業務の両方を実施しなければなりません。
(補足)法令で定められた資格を有する者とは防災管理講習の修了者又は防災管理者として必要な学識経験を有すると認められた者等になります。
防災管理に係る消防計画
従前の防火管理に係る消防計画だけでは、地震災害特有の対応事項には対応することが出来ません。そこで大規模地震発生時の被害を想定し、家具・じゅう器類の落下転倒防止などの被害軽減措置をとるとともに、応急措置、救援救護、避難誘導等を円滑に行う消防計画を新たに作成し、消防長へ届出する必要があります。
防災管理に係る消防計画に盛り込む内容として特徴的なものは下記の事項です。
- 地震発生時の被害の想定及びその対策について盛り込むこと。
- 訓練結果等を検証して消防計画を見直すことを明文化すること。(PDCAサイクルの構築)
- 地震については被害を軽減させるための予防対策も含め計画を作成すること。
- NBCR災害については、関係機関への通報及び避難誘導実施を盛り込むこと。
防災管理に係る消防計画は防火管理者が作成する防火に係る消防計画とは、概念上別の消防計画となりますが、防火・防災両方の規定を満たすように一つの消防計画を作成することは問題ありません。特に自衛消防組織等の体制は共通する内容が多く、また実際の応急活動の面からは、整合性のとれた一体的な運用が確保されることが必要となります。ですから実務上は一つの消防計画として防火・防災に係る消防計画を作成することが効率的です。
(補足)NBCR災害とは核物質(Nuclear)・生物剤(Biological)・化学剤(Chemical)・放射性物質(Radiological)の災害のことです。
統括防火防災管理者
管理権原者は、協議により選任した統括防火防災管理者に建物全体の防火防災管理上必要な業務を業務を行わせるとともに、消防機関に届け出ることが法律上規定されました。
統括防火防災管理者の選任が必要な防火対象物
管理について権限が分かれているもので以下に該当するもの
統括防火管理者について
- 高層建築物(高さ31メートルを超える建築物)
- 消防法施行令別表第1(16の2)項で消防長又は消防署長が指定した地下街
- 消防法施行令別表第1(16の3)項で定められた準地下街
- 消防法施行令別表第1(6)項ロ、(16)項イ((6)項ロの用途が存するものに限る)の防火対象物のうち、地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が10人以上のもの
- 特定防火対象物((6)項ロを除く)のうち、地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が30人以上のもの
- 消防法施行令別表第1(16)項ロの複合用途防火対象物のうち、地階を除く階数が5以上で、かつ、収容人員が50人以上のもの
統括防災管理者について
上記防災管理が必要な防火対象物(防災管理対象物)で管理について権原が分かれているもの
自衛消防組織の設置
防災管理対象物は自衛消防組織の設置を要する防火対象物とされており、防災管理対象物には自衛消防組織の設置が義務づけられ、当該対象物の管理権原者は消防長に届出をしなければなりません。
自衛消防組織には自衛消防業務に必要な知識等を有する有資格者を自衛消防組織の全体を指揮する統括管理者(自衛消防隊長)として置き、自衛消防組織全体において活動の基本的な業務となる「初期消火活動」「情報の収集・伝達、消防用設備等の監視」「在館者の避難誘導」「在館者の救出・救護」については、少なくとも、おおむね2人以上の要員を配置する必要があります。
実際には消防計画に定める対応が実施できる体制を確保するように自衛消防組織の編制や、要員数を定めます。
(補足)統括管理者の資格要件としては、自衛消防組織の業務に関する講習の課程を修了した者や市町村の消防団員で3年以上管理的又は監督的な職にあった者などがあります。
防災管理点検報告制度
防災管理点検報告制度とは、防災管理対象物の管理権原者が防災管理点検資格者に防災管理者の選任届出がなされているか、防災に係る消防計画の作成届出がなされているか、自衛消防組織の設置届出がなされているかなどを点検させ、その結果を1年に1回消防長へ報告する制度です。
点検報告の特例認定
管理権原者の申請により消防機関が検査を行い、特例要件に適合すると認められた防火対象物については、3年間点検報告が免除されます。詳しくは予防課予防班にお問い合わせ下さい。
防災管理に関する届出
防災管理制度では消防長にさまざまな届出を行う必要があります。
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